色と癒し

色を読むことは心を読むこと

 今気になっている色を一色思い浮かべてみましょう。それから、その色を思い浮かべた時の感情、思い浮かんだ考え、感じた感覚などを書き出してみましょう。今度は、書き出した言葉を組み合わせて、「〜の状態」という文を作ってみましょう。数はどれくらいでも構いません。新しい言葉が必要だと思ったら、それを含めても構いません。使わない言葉があったとしても構いません。

いくつか書いてみたら、それらの状態が今のあなたとどのような関係を持っているのかを考えてみてください。確かにそうだと同意できる状態かもしれませんし、そのような状態になりたいという願いかもしれませんし、決してそんな状態になりたくないという恐れかもしれません。これはMEのセラピーの基本の手法であり、『カラーリーディング』といいます。

 『カラーリーディング』では、その色を選んだ人はどのような人かというようなことは言っていません。その色を選んだから良いとか悪いとか、運気が高いとか低いとか、どのような運命が待ち受けているとか、どんな性格だとか、そんなようなことも言っていません。ただ、選んだ本人にとって何かの意味がある色ということは確かであり、その理由とは何なのかという疑問を解き明かそうとする手法です。

選んだ色の意味は、選んだ人の中にあるのです。その色の意味を知りたいなら、それを選んだ人に聞くしかありません。でも、聞いてもすぐに答えなど出ないかもしれません。なので、本人が気づけるようサポートする必要があり、それがMEカラーセラピストの仕事でもあるのです。

そのままの心を、ありのまま扱う

本来の自分は大丈夫という信頼

MEカラーセラピーでは、あなたの「そのままの心を、ありのまま扱う」ということをサポートします。「そのまま」とは今の心を表し、「ありのまま」とは本来の心を表します。

つまり、すでにバランスが取られている本来の心ではないから悩みが出ているのです。でも、だからと言ってそれが「悪い」わけではありません。心はすぐに善悪をつけられるような対象ではありません。

判断よりまず、本来の自分は大丈夫なのだということを信頼して、受け入れていく柔軟さを養う方が楽に悩みから抜け出せます。

MEカラーセラピーは「本来の自己」につながれるようにサポートする一つの方法なのです。

心はブラックボックスである

あなたの心はあなたのもの。しかし、それはあなたも知らない。

人生や生活の質(QOL)の向上、ストレス軽減や仕事の効果性を上げるために、認知行動療法やイメージ療法、人間関係の心理学、心理分析などを学ぶのは役に立つでしょう。

しかし、そもそも科学で扱われているのは“あなたの心”ではありません。心はまだ科学ではその存在さえも分かっていません。フロイトやユングやアドラーが心をどのように定義し、どのようなことを言ったとしても、あなたの心にそのまま当てはめることはできません。

もしかすると、あなたの信じている心はあなたにしかないかもしれません。他の人にも同じような心があるかどうかは分かりません…それくらい心は謎だらけで、誰も見た人はいないのです。


ブラックボックスとしての心の研究

実験的アプローチ

あなたの心はブラックボックスなので、それを扱うならブラックボックスとして扱う必要があります。なので、多くの脳や心理学の研究を参考にしてもいいのですが、あなた自身があなたの心を直に観察し、実験しながら扱い方を研究するしかありません。

もし、何かの理論にしたがって分析を始めれば、その理論で類型された成分を抽出することはできるかもしれません。しかし、成分が抽出されたからといっても、それはあなたの心そのものではないのです。

海水には塩があるというのはどこの海でもだいたい同じでしょうが、抽出された塩がその海そのものを表したりはしていません。それは、水道水に塩を入れて、そこの海と塩分濃度が同じだからと言って、そこの海であると言うぐらい乱暴なことです。


心の本質

“わたくしといふ現象は假定された有機交流電燈のひとつの青い照明です(あらゆる透明な幽霊の複合体)”宮沢賢治

MEというのは『Mind Essence』の略で、『心の本質』という意味です。これは「本来の自己」というニュートラルな状態を表しています。みんなの心でも誰かの心でもない、あなたの心のことです。問うべき部分はここです。

「本来の自己」はあなた自身が「私」と呼んでいる自分の中心にあります。そして、日々の浮き沈みに影響されもしません。それは存在するだけで満足しています。無邪気で無垢な単純さの中に無上の喜びがあります。私たちは平和や美しさを感じた瞬間に、その状態に触れています。

「私」という概念はこの世に現れた現象の一つであり、常に変化していますが、「本来の自己」は全く変わることなく、ずっと今ここに在り続け、外部の幸せなど必要としてはいません。

この現象を生み出している仕組みは人にわかるかどうか不明です。科学で扱えるのかどうかも不明です。心理学というより哲学的なテーマかもしれません。

なので、心はブラックボックスなんだということを受け入れて、自分のブラックボックスに直に手を入れて探ってみるしかないのです。それでも、ぶれることなくしっかりと在り続けている「本来の自己」により、安心して心を扱うことができるのです。


深瀬 啓介 Mind Essence